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研究概要real project


有用な機能を持つ乳酸菌の探索

微生物の特異な糖鎖分解酵素を用いたバイオ医薬品や有用複合糖質の合成

大腸菌プラットフォームでの植物アルカロイド生産

腸内常在菌の分泌する分解酵素と炎症性疾患

耐熱性酵母を用いたエタノール生産システムの開発


有用な機能を持つ乳酸菌の探索

乳酸菌は乳酸菌飲料や乳製品を発酵生産する有用菌であるのみならず、私たちの腸内において、整腸作用などの有益な働きをする腸内細菌でもあります。

乳酸菌はヒトの健康を促進するためのさまざまな機能(プロバイオティクス機能)を持つことが知られており、このような善玉菌である乳酸菌を私たちの腸のなかに留めてフローラ(菌叢)を形成させることが私たちの健康にとって非常に重要であることがわかってきました。そこで、私たちはプロバイオティクスとしての機能を持つ乳酸菌を得る目的で探索した結果、ヒトの粘膜を保護する抗体であるイムノグロブリンA(IgA)の産生を著しく誘導する乳酸菌を、エンドウマメから発見しました。本乳酸菌(Leuconostoc mesenteroides NTM048株)は菌体外に粘性のある多糖を産生し、この多糖に免疫賦活効果があることも明らかにしました。また、本乳酸菌の免疫賦活効果はマウスを用いた動物実験でも明らかにされ、現在、本菌株の病原菌に対する感染予防効果や菌体外多糖が有するプレバイオティクス(善玉菌のみが利用できる難消化性物質)の機能についても検証が進められて、あらたな進展が期待されます。

微生物の特異な糖鎖分解酵素を用いたバイオ医薬品や有用複合糖質の合成

最近、遺伝子やタンパク質を任意に付加したり改変したりする技術が急激な進歩を遂げ、遺伝子工学やタンパク質工学の分野の発展は医薬品の開発や病気の治療などに大きな貢献をもたらしています。一方、遺伝子が翻訳された後の修飾過程として重要な糖鎖の付加については任意な構造の糖鎖を付加したり改変したりする有効な技術や手段は未だ充分ではありません。糖鎖は核酸やタンパク質と並んで生命における「第三の鎖」と呼ばれており、「糖鎖工学」は遺伝子工学やタンパク質工学と並び称されるほど重要な分野と位置づけられているにもかかわらず、その技術や手段は遺伝子工学やタンパク質工学の域に達していません。それ故に、糖鎖をタンパク質などに付加することや天然に存在する糖鎖を改変して目的の機能を持つ糖鎖を創りだすことは遺伝子工学やタンパク質工学だけでは実現できない新しい機能を付加する技術として、糖鎖工学における重要な課題となっています。

私たちはそのような技術のひとつとして、糖鎖を分解する微生物のエンドグリコシダーゼの特異な活性を利用して、「糖鎖を化合物に付加する」ことや「機能を有する糖鎖にすげ換える」ことを実現しました。この酵素は土壌より単離したケカビMucor hiemalisから見出した酵素で「エンド-M」と呼ばれ、市販もされて世界中で広く使われています。私たちはこの酵素を利用して、さまざまな生理活性物質を合成するとともに、遺伝子改変体を作成して、抗体医薬を含むさまざまなバイオ医薬品の合成を試みています。

大腸菌プラットフォームでの植物アルカロイド生産

植物の産生するモルヒネ等のイソキノリンアルカロイドは、医薬品として広く利用されています。しかし、植物内に微量にしか含まれないものも多く、その効率的な生産系の構築が望まれています。私たちは、微生物酵素とアルカロイド生合成酵素を組み合わせ、グルコースから植物アルカロイドを生産する微生物プラットフォームを開発し、多様な植物二次代謝産物の発酵生産について研究をしています。

腸内常在菌の分泌する分解酵素と炎症性疾患

ヒトの腸内にはヒトの体の総細胞数よりもはるかに多くの微生物が常在しています。最近の研究より、これらの微生物が多くの様々な物質を腸内に分泌し、直接的あるいは間接的にヒトの健康に大きな影響を及ぼすことが明らかとなってきています。私たちはその中で腸管ムチンの分解に関与する分解酵素に興味を持ち、炎症性の疾患との関連性について研究をしています。

耐熱性酵母を用いたエタノール生産システムの開発

セルロースは地球上に最も多く存在する再生可能なバイオマスであり、化石燃料に代わる次世代エネルギー資源として注目されております。本研究室では、耐熱性酵母にセルロース分解酵素を導入し、セルロース系オリゴ糖から一段階でエタノールを生産できるシステムを確立しました。低コストのセルロース系バイオエタノール生産システムとして期待されており、実用化に向けてさらなる効率化を検討中です。










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